仮想通貨の熱が落ち着いてきたとは言え、未だに根強い人気を誇っています。しかし、仮想通貨業界ではさまざまな事件が起こったことによって、世間の印象は余り良くありません。『仮想通貨に手を出していないよね?』と確認する親も多いと聞きます。果たして、本当に仮想通貨は危険なものなのでしょうか。検証していきたいと思います。
ビットコインは危険なのか?
ビットコイン含め、仮想通貨に対してどのような印象を持っているでしょうか?おそらくですが、ほとんどの人が『仮想通貨は怖いものだ』『大損するリスクやハッキングで盗まれる可能性も高い』などのネガティブな印象を持っていると思います。確かに、投資目的で運用されることも多く、株やFXと同じように大損する可能性が充分あります。しかし、決してネガティブなものだけではありません。
まず、大損する可能性についてですが、先ほども書きましたが充分に考えられます。しかし、それは運用さえ間違わなければリスクを大きく抑えることが可能です。購入する通貨が本当にこれから高騰する可能性があるのか、暴落するリスクはないのか、それを考えるだけでもリスクは減らせます。レバレッジ取引のようなハイリスク・ハイリターンな取引を行わないというのも一つの手ですね。
次に、ハッキングなど盗まれるリスクです。これに関しては、コインチェックやザイフのハッキング事件がニュースなどで大々的に報道されたので心配している人も多いでしょう。これもリスクを減らせることが出来ます。まずは、安全な取引所を選ぶことです。取引所がどのようなセキュリティ対策を行っているのか、使っているのはホットウォレットなのかコールドウォレットなのか、補償制度はどうなっているか、などです。それを徹底するだけで安全性は急上昇します。
自分で通貨を保管する方法もあります。安全性で言えば取引所よりも高く、何かあったとしても迅速に対応出来るのでオススメです。自分の資産は自分でしか守れません。ミスさえしなければ、ハッキング被害などに遭うこともないでしょう。ただし、コスト面で言えば少し高くなる可能性もあります。安全性を取るのであれば、多少のコストは目を瞑りましょう。
銀行と仮想通貨の違い
銀行などで取り扱っているのは『法定通貨』と呼ばれおり、日本なら『円』、アメリカなら『ドル』のような、各国が定めるその国の通貨のことを指しています。この法定通貨というのは、モノにもよりますが基本的には信頼されているものです。日本人であれば、円というものを最も信頼していますよね。ドルであれば、世界中で使われているので信頼性が非常に高いと言って良いでしょう。その逆に、偽札が出回るような国の法定通貨であれば信頼性は低いとされます。
そして、法定通貨というのは基本的に管理する場所が存在します。日本であれば、日本銀行が全ての円を発行して管理まで行っているのです。つまり、各国の中央銀行が発行しから管理までしているということです。法定通貨には発行数に上限はありません。悪く言ってしまえば、いくらでも発行することが出来ます。しかし、それではインフレが起こってしまい国の経済が破綻してしまいます。
そのため、その時の情勢に合わせて中央銀行が発行数を調整しているのです。簡単に解説すると、景気を良くしたいのであれば多くのお金を発行して出回らせ、逆に少し落ち着かせたければ発行数を減らします。このような調整が出来るのは法定通貨ならではの特徴ですね。額面は一定となっており、貨幣が実体として存在しているのも法定通貨の特徴です。
一方の仮想通貨に管理する機関は存在していません。『それでは無限に仮想通貨が出回ってしまうのでは?』と思うかもしれませんが、仮想通貨には発行上限枚数が設定されています。発行はプログラムによって自動的に行われ、発行枚数が変動することもありません。そのため、人為的に流通量が増えることもないのでインフレが起こりにくいのです。各国の金融政策などで価値が上下しないのも嬉しいメリットです。
ただし、信頼性という面で見た場合で言えば、法定通貨『円』には現状勝てないでしょう。日本では円に対する信頼性が非常に高く、仮想通貨が使える店が増えてきたとは言え、まだまだ円に成り代われるほどの信頼性はないと言えます。ただし、これは日本においてです。国によっては、法定通貨よりもビットコインの方が信頼性が高い、として扱われています。
また、仮想通貨には仮想と付いている通り実体がありません。全てウォレットにデータとして保存されます。取引所などで購入すればウォレットに追加されますし、送金や決済などで使用すれば減っていく仕組みです。データということで、ハッキングなどの恐れが大きいのは仮想通貨ですね。ただ、ある程度は自分で資産を守ることも可能なので全てが全て危険という訳ではありません。
そんな仮想通貨の最大のメリットが、決済や送金などの経済活動にかかるコストが圧倒的に安いという点です。『誰にでも、どこにいても、時間やコストを使わずに送金などの取引が出来る』というのは革新的ですよね。似たようなものでクレジットカードがありますが、クレジットカードは手数料が高いというデメリットがあります。あとは、仮想通貨が使える環境が増えるだけですね。
まだまだ課題が多い仮想通貨
仮想通貨は生まれたばかりなので、課題も多く存在しています。いくつか見ていきましょう。
ブロックチェーンに対する強固性は証明されています。しかし、これだけで仮想通貨の安全性が確立されている訳ではありません。たとえば、コインチェックなどのハッキング事件は何回も発生しています。これはブロックチェーンの強固性とは関係なく、取引所の不手際が原因でした。取引所の方が、ハッキングされやすい環境にしていたのが問題なのです。
このように、仮想通貨のシステム自体は問題なくても、それらを扱う業者やサービス側のシステムに不安を感じます。今では金融庁などが指導に入って、セキュリティも大きく改善されたと思います。それでも、完全な安全性が確立されることはありません。どれだけ取引所などが努力するかがポイントですね。
法律の整備
日本では、仮想通貨に関するさまざまな法律の整備や改正を行ってきました。しかし、出来て間もない仮想通貨に対して、完璧な法律の整備が出来ている訳ではありません。仮想通貨の進化が目醒しい今だからこそ、政府は技術に対する理解と、柔軟な対応が求められているでしょう。
マネーロンダリングに利用される
仮想通貨の匿名性を利用して、違法行為で入手したお金を複数の銀行を経由して出所を分からなくするマネーロンダリングに利用されるのではないか?と心配の声が上がっています。仮想通貨の送金に必要なのは口座だけであり、個人情報を入力する必要はありません。世界中に安い手数料で送ることも可能なので、マネーロンダリングだけでなく薬物の販売などに利用されるかもしれません。
しかし、過去にはビットコインを利用して約40億円のマネーロンダリングを行ったロシア人男性がいて、逮捕までされています。そのことから、仮想通貨の原理としてはマネーロンダリングを暴くことが可能だと分かっています。全ての取引を誰でも見ることが可能という、仮想通貨の透明性による結果です。そのため、仮想通貨の取引データを監視する仕組みを確立させれば、この問題を解決出来ると言われています。
まとめ
仮想通貨は危険なものという面だけではありません。使い方を間違わなければ素晴らしいものなのです。今後は、仮想通貨中心の世界になるかもしれません。ただし、そうなるためには多くの問題も解決する必要があります。今後の展開に期待しておきましょう。