今では仮想通貨のことを知らない人はいないくらいメジャーな存在になりました。しかし、仮想通貨がどのようなものであるか知ってる人は意外と少ないのです。そこで今回は、仮想通貨のメリットとデメリットの解説をします。初心者はもちろんのこと、中級者も基礎を思い出すのに役立てばと考えています。
仮想通貨のメリット
まずは、仮想通貨のメリットから見ていきましょう。仮想通貨は非常に便利なものです。使い方を間違えなければ、これからの時代は仮想通貨中心になるかもしれません。メリットを知ることによって、仮想通貨がただ怖いものではないことを覚えましょう。
世界共通の通貨
日本であれば『円』、アメリカなら『ドル』など利用出来る法定通貨は決まっています。しかし、仮想通貨であれば世界共通の通貨として利用可能です。旅行に行く際などに面倒なのが、その国で使える法定通貨に両替することでしょう。その日の為替ルートによって金額も変わりますし、手数料なども取られて面倒なことばかりです。
しかし、仮想通貨には国境が存在しないため両替などの手間が必要ありません。保有しているだけで、どの国でも利用することが出来ます。同じく、どの国でも利用可能なものにクレジットカードがありますが、手数料が多く掛かってしまいます。クレジットカードであれば3~5%ほどのところが、仮想通貨であれば0.3%ほどで収まってしまうので、かなり割安ですよね。
365日24時間取引可能
お金の取引で一番最初に思い浮かべるのは銀行です。しかし、銀行は営業時間が決められています。そのため、取引が出来る時間も限られているということです。すぐに取引出来ないのは、非常にもどかしいものがあります。しかし、仮想通貨に営業時間という概念は存在していません。取引所などが正常に動いてさえいれば365日24時間いつでも対応可能になっているのです。
仮想通貨というのは分単位で価格が変動していくものです。すぐに対応しないと大きな利益を逃すことも、大損することもあります。そういった意味ではいつでも取引出来る仮想通貨は非常に便利なものと言えますね。
送金スピードが早い
銀行を使用したことがある人は分かると思いますが、銀行間の送金には時間がかかってしまいます。15時以降の振込の場合だと翌日の反映になってしまうのは本当に困りますよね。しかし、仮想通貨は銀行を通す必要がありません。ネット上での取引のため、送金したらすぐに反映されます。急な取引にもすぐに対応出来るのは大きなメリットです。
海外送金も簡単
前述した通り、仮想通貨の取引は全てネット上で行われます。ネットが切断されるなどの事態が起こらない限り、海外送金なども円滑に実行されます。銀行などでは数日かかる上に、高い手数料もかかってくるので、海外送金が多い人にとって仮想通貨による送金は大きなメリットになるでしょう。
インフレを起こさない
インフレ(インフレーション)とは、モノの価値がお金の価値より高くなることです。逆に言ってしまえば、お金の価値が下がったということにもなります。このインフレが起こる要因として挙げられるのが、通貨を発行しすぎることです。お金が多く発行されればされるほど、お金の価値はどんどん下がっていきます。時計とかでも、多く製作されてるモデルよりも数個限定のモデルも方が高いですし価値もありますよね。それと同じなんです。
過去には世界でハイパーインフレが起きてしまい、国の経済が破綻したこともあるくらい起きてはいけないものなのです。ジンバブエでは、2000年からの7年の間に130万倍という考えられないような通貨が流通してしまいました。それによって起こったハイパーインフレによって、ジンバブエの経済は破綻してしまったのです。では、仮想通貨にインフレは起こるのでしょうか?
答えは『限りなく起こらない』です。
価格が大きく変動することからインフレやデフレの話がよく話題に挙がりますが、仮想通貨は法定通貨と決定的に違うところがあります。それが、仮想通貨の発行数(流通量)はあらかじめ設定されているという部分です。たとえば、仮想通貨の中でも有名なビットコインの発行上限は約2100万BTCと設定されています。これ以上発行されることは現状ありません。
アルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨の総称)も発行上限を設定しているものが多いです。『限りなく』と付けたのは、発行上限を設定していない仮想通貨も一応は存在しているからです。しかし、時価総額が高く経済に直接影響してくる仮想通貨は発行上限を設定しています。発行上限を設定していないのは草コインと呼ばれる、現状では価値がほとんどないコインばかりで、いくら発行しても経済に直接影響することはないでしょう。
ただし、仮想通貨というのは価値が一定ではありません。草コインだと思っていたものが、何かのきっかけで高騰する可能性もあります。その際に、発行上限がないとインフレが起こってしまうかもしれません。歴史が浅い仮想通貨だからこそ予想するのが難しいのです。これからも情報はしっかりと集めて理解しておきましょう。
マイニングの存在
マイニングとは、新しい通貨を発掘する作業のことを指します。簡単に言ってしまえば、自分で特定の仮想通貨を作っているようなものです。発掘した仮想通貨は自分のものになるので、もしビットコインは1つでも発掘することが出来たら、それがそのまま自分のものになります。それだけで約70万(2018年10月)の価値があるのでやらない手はないですよね。実際、多くの人がマイニングに挑戦しています。
しかし、それだけライバルも多いということです。マイニングでは、最初に発掘した人に全て与えられるという性質があります。そのため、発掘に必要なパソコンは高機能なものが主流であり、それだけで何十万・何百万ものコストが掛かってしまいます。ビットコインのマイニングに関しては、個人ではほぼ不可能とさえ言われているのです。しかし、そんな人たちのために『プールマイニング』と『クラウドマイニング』と呼ばれるものがあります。
プールマイニングは、他の人と協力してマイニングして、発掘出来た分は貢献度によって分割しようというものです。発掘する可能性も上がり、少なくなるものの報酬を手にすることが出来ます。一方のクラウドマイニングは、マイニング作業を全てマイニング会社に委託することを指します。マイニング会社には高性能なパソコンを何百台と設置しているので、発掘率で言えば最も高いでしょう。その分、報酬は少なくなってしまいますが安定しているとも言えます。
このように、マイニングには大きな希望があります。これは株やFXにはない仮想通貨独自のメリットと言えるでしょう。このマイニングを上手く活用することによって、大きな利益を出している人もいます。最初は難しいですし、なかなかコストの回収が出来ずにモヤモヤするかもしれません。しかし、長い目で見た時に、安定した収入として確保しておくのもアリだと思いますよ。
仮想通貨のデメリット
では、次に仮想通貨のデメリットを解説します。デメリットを知れば運用の方法も分かっていきます。メリットだけを追いかけていると、緊急時に咄嗟の判断が出来ないこともあるからです。良いことばかりではないのが仮想通貨と覚えましょう。
価値が暴落する可能性
ビットコインの暴騰によって始めた人も多いかもしれませんが、暴騰するということは暴落する可能性も充分にあります。実際、2017年の終わりから2018年の初めにかけての1BTCの価値は200万円にもなりましたが、その後は下がり続け2018年10月には1BTCの価値は約70万円前後になっています。1年も経たない内に半分以下の価値になったという訳です。
こういったことから、仮想通貨はハイリスクハイリターンと言えるでしょう。仮想通貨は、少しの規制が入ったりハッキング被害があっただけで価格が変動する業界です。売り時をミスってしまえば、とんでもない損害になることもあります。自分に見合った投資をするように心がけてください。
ハッキング被害
少し前にコインチェックがハッキング被害にあいました。被害額は580億円とも言われており、大半は返金処理がされると発表されたものの、仮想通貨は危険だと印象付けた事件でもあります。このように、ハッキング被害にあってしまうと、せっかく保有していた仮想通貨が全てなくなってしまう可能性があるのです。
取引所によっては、ハッキングに対する保障制度を作っているところもありますが、そういった制度を作ってない取引所でハッキングされると、当然ですが何も保障されません。『盗まれてしまいました。ごめんなさい。お金がないので返金出来ません。』とだけ発表されるだけでしょう。取引所を選ぶ時には、しっかりと補償内容もチェックするべきです。
取引所が破綻
取引所も倒産する可能性はあります。資金がなければ運営出来ないですよね。特に、上記のようなハッキング被害が出てしまったら信用を失ってしまいます。盗まれた分の補償などもありますし、利用する人がいなければ運営していくことは出来ません。資金がなくなれば、待っているのは倒産です。そこで問題になってくるのが、預けていた通貨がどうなるかです。
取引所にもよりますが、倒産と同時に消滅する可能性が高いと考えています。通常であれば、倒産する前などにアナウンスがあるでしょう。『取引所が無くなるので、預けている通貨を移動させてください』などでしょうか。それであれば大きな問題にはなりません。問題なのは、アナウンスもなく突然倒産するパターンです。ほとんど夜逃げみたいな感じで、おそらく返ってくることはないでしょう。中には、ユーザーが預けていた通貨を使った挙句倒産して返還するのは無理…といった悪質な取引所が出てくるかもしれませんね。
価値の保証がない
日本の『円』やアメリカの『ドル』などの法定通貨に対しては、国が発行していることもあってその価値が保証されています。100円硬貨であれば、どんなことがあっても100円の価値が保証されていますし、1000円紙幣であれば1000円の価値が保証されているということです。よほどの事情がない限り、この価値が変動することはないでしょう。
しかし、仮想通貨に対して『国家による価値の保証』は存在しません。仮想通貨業界に対して悪いニュースが流れたりすると、暴落によって無価値になってしまう可能性があるということです。これは大きなデメリットになるでしょう。
マネーロンダリングに利用される
マネーロンダリングとは資金洗浄のことです。犯罪等によって不正に入手した資金は誰にも見つかってはいけません。そこで考えられたのが、資金の出所などを全て隠蔽して正当な手段で入手した資金と見せかける行為です。仮想通貨では、このマネーロンダリングに利用される危険性が高いと言われています。
仮想通貨のマネーロンダリング方法は、法定通貨と同じで他者と協力したり、流れを複雑にすることで行われています。しかし、仮想通貨で行った方が法定通貨よりも発見されにくいとされているのです。その理由として、仮想通貨は銀行口座を経由せずに仮想通貨口座間の送金が行えますし、仮想通貨を使ってそのまま物品の購入も出来ます。そのため、仮想通貨の流れは法定通貨よりも追いにくいという訳です。
2017年4月に日本政府が施行した改正犯罪収益移転防止法によって、マネーロンダリングが疑われる取引の届け出を仮想通貨交換業者に義務付けるようになりました。そこで発覚したのが、2017年4~12月の8ヶ月間でマネーロンダリングの疑いがある取引は40万件近くあったということです。しっかりとした対応をしなければ今後も増え続けていくかもしれません。それによって仮想通貨の暴落などに繋がる可能性もあります。
使える場所が少ない
最近では、仮想通貨で決済出来る店舗も増えてきましたが、それでも対応していない店舗の方が多いです。有名なところでは、ビックカメラが仮想通貨による決済を導入しています。仮想通貨を投資として考えている人には余り影響はありませんが、仮想通貨で買い物などを目的にしている人にはデメリットになります。実生活で使えるレベルに達するまでには、まだまだかかりそうです。
メリット・デメリットを把握して運用すべし
仮想通貨の運用には細心の注意が必要になります。知識を付けずに運用してしまっては、対応が遅れてしまいますし損失も大きくなっていくでしょう。仮想通貨の良い部分だけを見るのではなく、リスクや問題点を把握することの方が重要です。最初は利益も出ないかもしれませんし、諦める人が多いのも事実です。しかし、仮想通貨で利益を出している人は少なくとも努力しています。まずは、自分のやれることを全てやってみましょう。